CAT VILLAGE STORY. 猫と暮らしてみませんか?

暖かい家庭と家族を待ち望むにゃんこ達が暮らすCAT VILLAGEの日々を紹介します。

ロジャーの物語

俺は物心ついてからずっと「野良」と呼ばれてきた。

その時々でメシをくれる人間はいたが、その日暮らしには

変わりねえ。

一年前は小さなアパートの敷地の隅で仲間と暮らしていた。

そのアパートに住む人間からうまくもねえメシを

食いつなげる程度にもらっていた。

ある日、その人間が突然いなくなった。

俺たちは他に行くアテもなく、ただ腹を空かせて同じ場所にいた。

仲間のポーラなんて紙みたいに薄っぺらになり、風に飛ばされそうだった。

たまに近所の人間がメシをくれることもあったが、食パンを牛乳に

浸したメシなんて到底食えたもんじゃなかった。

そんな時、以前から大きな犬を連れて散歩をしていた背の高い

姉さんをよく見かけるようになった。

その姉さんは母親らしき人や近所のおばさんなんかと一緒に

俺たちにメシを運んでくれるようになった。

俺たちはずっとあの場所にいていいもんだと思っていたが

実際はそうじゃなかった。後から知ったことだが、姉さんが

俺たちが安心して暮らせる場所を探してくれていたそうだ。

それから間もなく、その姉さんがまだ子猫だったこむぎを連れて行った。

俺にはこむぎがどこへ連れて行かれたのか想像もつかなかった。

その数日後、姉さんが見知らぬおばさん二人を連れてきた。

一人は大きなカメラを持って俺たちの写真を撮っていた。

俺は近寄らず、遠目で見ていたが子猫のホップや気のいいみぞれは

カメラの前で寝そべってポーズをとったりしていた。

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人間達はしばらく立ち話をした後、帰って行った。

数日後、俺たち全員が姉さんの車に乗せられた。

一月の始め、寒さが厳しくなってきた頃だ。

姉さんの家の中は暖かく、メシもうまかった。

俺たちはこの先どうなるのだろうと思っていたら

また車に乗せられてキャットビレッジという所に

連れて行かれた。そしてこむぎと再会した。

俺たちを見に来たおばさん達もそこにいた。

今日からここが君たちのお家だよ、と言われ

何のことだかわからないままそこで暮らすようになった。

姉さんの家よりずっと広いせいか、それほど暖かくはないが

雨風に晒されることもないし、朝晩腹一杯飯を食うことができた。

薄っぺらだったポーラもすぐにまん丸になり、足を怪我していた

むつきも薬をもらって痛みが引いたようだった。

キャットビレッジには俺たちの他にも猫がいて、

その中でもポーカーフェイスのホリーと能天気のニコはどうも

気に食わなかった。

奴らは飼い猫としての苦労をしてきたようだが、俺たちのように

外の世界の怖さは全く知らねえのさ。

野良は決して気楽な稼業なんかじゃねえ。

縄張り争いはそりゃあ過酷な戦いさ、体が小さい奴や

力が弱い奴はいつも居場所を奪われ、メシにだってありつけねえ。

俺は顔見知りの猫達が車に跳ね飛ばされて、ボロ雑巾のようになった

姿も何度となく見てきた。

人間が畑に仕掛けた野生動物用の罠に掛かってカタワになった猫もいた。

近頃はおかしな人間が多く、猫を捕まえて体の一部を切り落としたり、

毒を入れたメシを食わせたりもする。

冬の冷たい雨や雪、夏の照り付ける太陽、若く健康な猫なら耐えられるが

子猫や老猫は参っちまう。

ノミの恐ろしさを知っているか?

体中に無数のノミがたかって貧血で死ぬことだってある。

猫白血病やエイズにかかってみろ、発症すればそれこそ

野垂れ死にだ。

それでも野良は自由で気ままだなんて言えるか?



正直、俺は一生野良として生きていくしかないと思っていた。

それが俺の運命だと受け入れるしかなかった。


しかし俺は今、クーラーの効いた部屋で体が沈むようなフワフワした

布団の上に寝そべっている。

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傍らには手作りの小屋、食器、水飲みが並んでいる。

キャットタワーもある。

ホリーもニコもいねえ、俺だけの部屋さ。

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あの日、キャットビレッジを訪ねてきた夫婦が俺の体を

撫でながら話をしていた。

家に猫を迎えたいこと、

そのために引越しをしたこと、

俺のことが気になること、、、

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そして俺はこの夫婦の家族になったって訳だ。

居心地のいい部屋はもちろん快適だが、それ以上に

この家族ってやつはいいもんだな。

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聞けば、みぞれもホップもこむぎもむつきも新しい家族のもとで

可愛がられているそうだ。


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俺たち猫は熊や狸とは違う。

人間と同じ屋根の下で家族として暮らすべき動物なんだ。

俺はこの家で新しい猫生を生きる。

キャットビレッジのおばさん達、

すべての猫が愛されて生きられる世界を作ってくれよな。

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